蟲の手帖 09年10月号
第5話『幻想の音』


総合解説/コメント


■狙っていた写真が撮れなかったため、今回はテーマ投稿を見送りました。

■せめて秋らしくと鳴く蟲を主題に添えてみたのですが、肝心の鳴く蟲も撮れませんでした。
 カネタタキ、声はあちこちでするのになかなか見つからないんですもん。
 今度、じっくり時間をかけて鳴く蟲蒐集をしてこようかと思います。
 (後日追記・その後 撮影に成功したので写真を追加しておきます)

■オチは短歌。前回「短歌が詠める」とさり気なく豪語していたリグル、
 どうやら嘘ではなくて本当に知識はあったらしい。詠めるかどうかは不明のままですが。
 私自身、俳句や短歌は好きです。ただし読む分には。残念ながら自分では詠めません。


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■本編1P目「と言うわけで今回はプリズムリバーの…」
 うちのリグルの場合「リリカだけ知らない」というわけではない気がします。
 ユニット名は知っているけど各奏者の名前を覚えられない子、的な。
 私自身もそういう人。どうしてもアーティストの顔と名前が一致しない。


■本編1P目「昆虫の脳は人間の十万分の一」
 …らしい。その小さな頭できちんと学習したりするから蟲は凄い。
 複雑怪奇な人間の脳に対して、シンプルさをトコトン追求した脳。


■本編1P目「自分だって脳のない妖怪のくせして。」
 リグル(もとい描き手の)の勝手な妄想です。
 吸血鬼に脳がないなら騒霊にも脳はないんだろうなぁと。
 亡霊にもなさそうですよね。


■本編2P目「正確には鬼の子の泣き声よ」
 本編2P目「…蓑虫いとあはれなり?」
 枕草子「虫は」より。 私が初めてこの文章を読んだのは、
 小林めぐみ先生の「特殊駆逐業者出勤ファイル」の中ででした。
 今でもお気に入りの一作で、これも思い出深い一文になっています。


■本編2P目「ここ数年でミノムシが増えたじゃん?」
 近年、ミノムシはオオミノガヤドリバエの寄生によって激減しているそうな。
 最近 見なくなったと思ったら…。昔は良く蓑の着せ替えをして遊んだものです。
 恐らく幻想郷ではミノムシが増加傾向にあることでしょう。


■本編3P目「うん、カネタタキの声をそれと勘違いしてるの」
 …と言われている。
 蓑虫が親を呼ぶ声「父よ、父よ」と聞きなしているのだそうだが、
 私には「チンチンチンチンチン」にしか聞こえません。
 昔の人の想像力は本当にすごいと思う。


■本編3P目「…」
 リリカは3コマ目の時点で山犬に囲まれたことに気づいていた。


■本編3P目「クロツヤムシか、それともメンガタスズメか」
 クロツヤムシは鳴く甲虫。子育てをする蟲としても有名です。
 子(蓑虫)を捨てる鬼の話と比べるとえらい違いですね。
 温かい地方に棲む蟲ですが、日本でも九州や四国で見られるそうな。
 って、そんな蟲が果たして幻想郷にいるんだろうか。
 間欠泉が沸いた影響で局地的に地温が上がっていたりなんかして、
 幻想郷入りした固体がその限られた区域にだけ生息していたりとか…。
 そんないい加減な環境に定着できるかどうかは分からないけれど。

 メンガタスズメは背中にドクロマークを背負ったスズメガ。
 幼虫も成虫も鳴くという一風変わった蛾です。
 彼らはミツバチの巣に侵入して蜜泥棒をするそうな。


■本編3P目「あれは一種のジョークなんじゃないかしら!?」
 昔の人のセンスは本当にすごい。学生時代に土佐日記を習ったとき、
 「潮海のほとりにて、あざれ合へり」の一文に感動した記憶があります。
 さて件の「鳴く蛍」ですが、秀吉が本気で蛍を鳴く蟲だと思っていたのか、
 周囲の反応が見たいが故の無茶振りだったのかは定かではないですが、
 (いくらなんでも本気でそう思っていたとは思えないけれど)
 下の句のフォローがあって、一つのジョークになっているように思えます。




登場蟲解説/使用・関連写真

■情けないことに蟲写真が全く使われていません。
 安直に背景画像ばっかり貼り付けててごめんなさい。


【2P目、霊夢と萃香の背景】

■忍野八海にあるはんのき資料館にて撮影したものを加工したのが作中の背景。
 かの忍野も観光地化したことにより環境の悪化が着々と進んでいるそうです。
 どこの観光地でもそうですが 単純に「だったら観光客を締め出せばいいじゃん」
 とは行かないですもんね。 土地にお金が入らなければ自然は守れず、
 お金を入れるためには観光地化していかないといけない。すごい悪循環。




【2P目、カネタタキの背景】

■苔むした石段を加工したものが作中の背景。
 写真の蛾はカノコガ。とても綺麗な昼に活動する蛾です。




【3P目、短歌の背景】

■伊香保に行ったときに撮影した紅葉。
 作中には目立った加工無しで、リサイズ・トリミングしたものを貼ってます。
 晩秋は蟲も少なくなって淋しい季節ですが、色づいた葉を見るのは楽しいです。
 いつか紅葉シーズンど真ん中の京都なんかに行ってみたいなぁ。


【今更だけどカネタタキさん】

■後日、近所の公園にて発見。撮影。





参考文献・図書 一覧(敬称略)


『蛍の里』 西川祐介/解説・大森亮尚(東方出版)
『あっ、螢 歌と水辺の風景』 吉岡生夫(六花書林)
『始まりはいつも不自然 特殊駆逐業者出勤ファイル』 小林めぐみ(角川スニーカー文庫)








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