蟲の手帖 09年11月号(ハロウィン特集)
第6話『小泉八雲の“蛍” in ハロウィン』


総合解説/コメント


■最初はハロウィン=日本でいうところのお盆という単純な発想からスタートし、
 お盆=霊=蛍と連想していき、いろいろあって小泉八雲の「蛍」を小ネタの
 ベースに据えることに決定しました。面影すら残ってない気がするけど。

■wikiによるとハロウィンは元々ケルト人の祭事なんだそうです。
 そして小泉八雲の出身地、アイルランドでは今もハロウィンを祝う習慣が残っていると。

■で、ハロウィンの時期になるとこの世と霊界の行き来が自由になるとか。
 ここまで材料が揃って秘封倶楽部以外にゲストの選択肢があるでしょうか。いや、無い。

■ちなみにハロウィンにおまじないをすると成功率が上がるそうです。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


■本編1P目「―…雌蛍だけに(うまい。)」
 「鳴かず」は勿論のこと、蛍には雌の翅が退化して飛べない種類が多いのです。
 ゲンジやヘイケの雌は飛ぶことが可能ですが、雌は基本的には飛び回ることはなく
 葉の上にとまって雄に合図を送るため、リリカの思うようにはいかなかった模様。


■本編2P目「カボチャは牛? 馬? …車?」
 シンデレラ的な意味で。


■本編2P目「ナンパ自慢か?」「水差すな。」
 キャプテン・ムラサにかかれば難破も水差しもお手の物だ!
 …という旨の小ネタを挿入したかった気もするのですが、
 スペースもなければ話に全く関係もないので断念しました。


■本編3P目「彼女の言うことにゃ」
 実は上司が私に話してくれた内容をそのまま使わせてもらっています。
 彼女は蟲は嫌いではないけれど別に興味があるわけでもないという人間で、
 そんな人間でもこういうケースでは蟲に注目して「ご先祖様が帰ってきた」と
 表現するんだなーと、話を聞きながら密かにネタにすることを考えていたのでした。
 ネットで調べてみるとウマオイなどの蟲をこう扱う人間は決して少数ではなく、
 昔は各地で「仏の馬」などと呼んで親しんでいたことが分かります。


■本編4P目「入れ物なのかな」
 残念ながら香霖堂の「奇跡の蝉」は未読です。


■本編4P目「その蛍が将来のお相手だったかもしれないじゃない」
 元ネタは小泉八雲の「蛍」。 内容を噛み砕いて説明すると、
 冬の夜に現れた蛍に驚いたお侍がそれを杖で打ち付けて撃退するが、
 翌朝 将来自分のお嫁になることを約束している娘さんから
 「昨日の晩、蛍になってあなたに会う夢を見た。杖でぶたれて怖かった」
 と打ち明けられた…という感じのお話でしょうか。


■本編4P目「ハロウィンの夜にくつをT字に置いて寝ると…」
 かの有名な「マリサさん」でも紹介されていたもの。
 検索をかけるとこのほかにも出るわ出るわハロウィンのおまじない。
 女の子って恋のおまじないが大好きなのですね。


■本編4P目「はーん」
 「洒落かしら?」「洒落なの?」


■本編4P目「…!!」
 今回のオチ、何度自分で読み返しても全然分かる気がしないのですが、
 「蓮子はリグルになってメリーと会話する夢を見ていた」…かもしれないというお話です。
 そうでなくともメリーが見た蛍は女の子。つまり将来の相手は……後は分かるな?




登場蟲解説/使用・関連写真

■前回 蟲写真を全然貼れなかったので多目にしてみた。
 (だというのに作中に蟲の説明を入れ忘れたという)
 しかし、肝心のウマオイの写真は撮れなかったという。


【ヒゲナガカミキリ顔アップ】 【全体図】

■体長25〜50mm程。 名前の通り触角の長ーいカミキリムシ。
 家族での旅行中に見つけた蟲はゆっくり観察できないから困る。




【クロスカシトガリノメイガ】

■開張20mm程。小さいけれどキレイな模様の蛾。




【モモスズメ交尾】

■開張70〜90mm程。根場いやしの里にて撮影。
 スズメガ大好きで見ると触りたくて仕方なくなるんですが、
 さすがにこのときは邪魔しちゃいけないと空気を読んだ。




【カノコガ】

■開張30〜40mm程。昼行性の美しい蛾。翅の白い模様の部分は半透明。
 よちよち歩いていく進行方向に手を出しといたら乗った。超かわいい。




【アメリカシロヒトリ】 【横から】

■開張20〜35mm程。その広食性から大害虫とされる外来種。
 かわいらしい蛾なんだけどね。人間の都合で分布が広がったのに、
 人間の都合で害虫扱いされるのは不憫な気がします。




【ジャコウアゲハ・雄】

■開張40〜60mm程。彼らの蛹はその形状からお菊蟲と呼ばれます。
 残念ながら蛹の写真は手元になかったので成虫を背景に。




【鈴なりの蝉の抜け殻】

■撮影日は08.09.13。時期的にツクツクボウシの抜け殻でしょうか。
 写真では分かり難いですが、実際には物凄い量でした。
 抜け殻にしがみつく形の抜け殻もあったりして、
 安定が悪くないのかなぁとか思ったものです。
 ちなみに樹種はメタセコイアだったと記憶している。







参考文献・図書 一覧(敬称略)


『蛍』 小泉八雲(主にネット検索)
『ユリイカ 2009年9月臨時増刊号 総特集・昆虫主義』 (青土社)









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